トレジャーフェスタ in 有明3 塗料・塗装講座イベントレポート



株式会社グリフォンエンタープライズ様主催のイベント、「トレジャーフェスタ in 有明3」(2010年5月4日 東京ビッグサイト開催)への出展の打ち合わせの時、塗料/塗装に関するイベントがあったら面白いよねとの話題が出ました。

弊社にとって、イベントは皆様と直接お話をする良い機会なのですが、反面、店番もあるので駆け足での説明になってしまいます。それならばいっそのこと時間を作ってお答えできる場を作る企画は、非常に面白いのではないかと思いました。主催者様からも場所・設備の協力は出来るとの回答を頂きました。

 

急遽決定した企画だったため、時間のないところからのスタートでしたが、質問を事前に受け付け、ゲストの方をお呼びすることで、いただいた質問をさらに深く掘り下げたうえで、その場での質疑応答に答えるという内容としました。
主催者様で集めていただいた質問に目をとおしていくと皆さんの質問の傾向が予想通りの2つに集約されていっておりました。

予想していた2つのテーマとは
大まかに一つは、塗料の特性と色の話。
もう一つはフィギュアの塗装、特に肌色塗装に関してでした。

今回のイベントのためにお呼びした一人目のゲストは線香亭無暗様。グラフィックデザイナーもされている色のプロフェッショナルです。
もう一人のゲストはフィギュアのプロフェッショナルであるクボワタル様。弊社のサフレスカラーを手がけていただいた方です。


 
今回の塗料・塗装講座イベントにて取り上げられたトークの内容をトレジャーフェスタに来られなかった方や、イベント会場の後ろの方で聞こえなかった方のために、ピックアップしてご紹介させていただきます。
  • 混色の原理には2通りあり、混ぜていくと白になる加法混合。混ぜていくと黒くなっていく減法混合があり、模型用塗料は後者の減法混合。
  • 通常塗料はいろいろな色が混ざり合ってできているので、混ぜるほどに濁っていくので、極微量でも混色で作られた色で狙った色を作るのは難しい。 ガイアカラーの純色は一切の混じりけがないので狙った色が作りやすい。
  • 色は光の加減で見え方が変わるので、色を作るときは使う色を全て一度に作ってしまい、完成品を展示する予定の場所で作るのが好ましい。また、塗料は乾燥する工程で重い顔料は早く下に落ちてしまったりということがありますので、実際に塗って色味を見ること。
  • フィギュアの瞳を上手に塗る方法。とにかく、左右の目の大きさを同じにすること。また、筆を運ぶストロークを同じにすると片方の目は上手く描けたのに、もう片方の瞳が上手くいかない、という失敗を避けられる。対処法としては、失敗しやすい瞳を天地逆に持って塗装してみる。



こちらは事前に受け付けたご質問を元にQ&A形式にてお答えしています。
Q.
サーフェイサーエヴォで表面処理した後、白い下地にするにはどうしたらいいですか?また、肌色の塗装に支障を来さないようにするにはどうしたらいいですか?
A.
従来品であれば弊社の一番隠蔽力(下地を隠す力)の強い、Ex-ホワイトで一度真っ白にするのが良いかと思われます。または、未だイベント限定品ですが、フレッシュやホワイトのサーフェイサーエヴォもございますので、一度お試し下さい。
Q.
アクリル塗料とラッカー塗料を混ぜ合わせて使っても大丈夫なんですか。
A.
アクリル塗料とラッカー塗料を混ぜ合わせることはできません。 水性アクリル樹脂塗料のアクリル塗料と、溶剤型のアクリル樹脂塗料であるラッカー塗料は、名称に似た部分はあっても、含まれる樹脂が違うためにゲル化をおこしてしまいます。 まれに、樹脂が同じだと混ぜることができますが、現状の模型用塗料では混ぜられません。
Q.
イベント出品に追われながらの塗装で、ちゃんと塗装用マスキングテープ(もしくはゾル)を使うのに、下地塗装がマスキングテープと共に剥がれてしまう・・・サフを吹いても、吹かなくても・・・ 下地乾燥に充分時間をかけないから?でも、時間がないんですー(涙)どうか、知恵を授けて下さい。
A.
ラッカー塗料は下地のプラスチックを侵しながら(溶かしながら)食いつく塗料でして、レジンとはあまり相性は良くありません、急いでいる時こそ、生地を適度に荒らすことと、プライマーを使用して下さい。 プライマーはさっとひと吹きで充分です。吹きすぎると、プライマー層ができてしまい、その層が割れた場合、塗膜諸共剥がれてしまいますので。さっとひと吹きです。
Q.
ゴールドがうまく塗れないのですが、何かコツがあるのでしょうか?また、クリアーコートすると色がくすんでしまうのですが、解決法はありませんか?
A.
口径の大きなハンドピースで圧力を上げて、絞りを広げて吹くのがコツとなります。 あとは、T-09メタリックマスターのような強めの溶剤と、塗装の際の距離と乾燥の調整となります。練習あるのみです。 メタリックのクリアーコートは完全乾燥後、薄めのクリアーを様子を見ながら薄く塗るのがベストです。 色がくすんでしまったように見えるのは表面のメタリック粒子が厚いクリアー層により並んでいた粒子が流されてしまったためです。
Q.
家庭の事情でエアブラシが使えません! そのため、筆塗りに適した塗料があると嬉しいのですが、テクニックや今後の商品の予定等はあるのでしょうか?
A.
ガイアカラーは塗り様によっては、とても筆塗りに適した塗料です。 流展性という、平らに、滑らかになろうとする力がとても強い塗料ですので、リターダーのような乾燥の遅い溶剤や、リターダー入りの薄め液を加え、筆運びの良い濃度、状況にもよりますが、塗料1に、リターダー入り溶剤1弱ぐらいで塗っていただければ、多少の指紋も、そっとしておけば、乾燥するころには目立たなくなっていると思います。残念ながら、今のところ、筆塗りに特化した製品の販売予定はございません。
Q.
初めて塗装にチャレンジするのですが、アクリルとかエナメルとかラッカーとかいろいろあってよくわかりません。どれを買うのがいいんですか。
A.
どのような模型を作られるか、どのような環境にいらっしゃるかというところで変わってくるかと思います。塗膜のアタック性(溶剤の強さ)からいうとラッカー→アクリル→エナメルの順に弱くなります。これは、下地の塗装を侵しやすいということであり、例えば肌色はラッカー、瞳は専用溶剤で失敗時に拭き取れるエナメルというのがパターンとしてあります。ラッカーの方がエナメル溶剤より強いため、ラッカー下地が侵されないということです。 あとは、雑誌やインターネットなどを参考にされたり、例えばトレフェスのようなイベントで気に入られた作品のディーラーさんに思い切って聞いてみて下さい。きっと親切に教えてくれるはずです。
Q.
蛍光塗料の定義、また、染料と顔料の違いを教えて下さい。
A.
蛍光塗料は紫外線があたって発色するものです。染料と顔料の違いは、色の元となる物質が溶けるか、溶けないか、というところで分けられます。染料は溶けるグループで粒子は細かく、透明度がありますが、耐光性に劣ります。染料系塗料がにじむのは、粒子が細かいためです。顔料は溶けないグループです。下地が透けにくく、耐光性に優れています。
Q.
貴社製品のフィニッシュマスター、使いやすいとは思うのですが、拭き取ったあと、先端部の汚れが落ちにくい気がします。塗料を落としきらずうっかり再度拭き取りに使うと、部品に前回の塗料がついてしまうことも・・・
A.
フィニッシュマスターの洗浄は弊社製品の調色工房等の塗料皿のようなものに、T-04ツールウォッシュを浸し、その中で、割り箸などでもみ洗いで、汚れが無くなるまでツールウォッシュを入れ替えながら行なうとよいでしょう。それでも完全に元の真っ白い状態には戻りませんので、汚れがひどくなってきましたら新しい先端に交換しながら使用して下さい。
Q.
肌色の塗装がなかなか上手くいきません。
A.
弊社から、イベント限定ですが、顔料系のフレッシュセットと、サフレスカラーセットが発売されております。イベントの際には塗装見本も含めたPOPも用意しておりますのでご参考にしていただければと思います。下地に濁った色味を残さないように仕上げ、出来る限り自然に色を重ねていくと良いかと思います。あとは、イベント会場などでお気に入りのディーラーさんに、思い切って質問するのが一番の近道だと思います。皆さん親切に教えてくれるかと思いますので、漠然とではなく、できるだけポイントを絞って質問してみてください。
Q.
ガイアカラーの基本色と純色の違いが良くわかりません。使ってみても良くわかりません。
A.
ガイアカラーは、現在発売中の純色5色と、残り数色の純色と、白、黒により全ての色が作られています。よって、純色はガイアカラーの一部であり、全ての元のカラーなので、違いがあるわけではありません。効果を発揮するのは、混色時です。一切の混じりけがございませんので、狙った色味だけを加えることができます。紙コップ一杯に作っても納得が行かず、色を加えれば加えるほど狙っていた色が遠くなった経験はございませんか?そんな事態を防げます。また、単色でも美しい発色をします。
Q.
メタリック塗装のメタリック感が中々でないです。コツがああれば教えて下さい。メタリックカラーとメタリックマスターのどちらを使うほうがよいですか。
A.
メタリックを綺麗に塗装するコツはエアブラシが前提となりますが、口径の大きなハンドピースで、圧力を上げて、絞りを広げて吹くのが基本となります。そこで、溶剤は強めの物(T-09メタリックマスター)を使い、距離と、乾燥の調整をご自身で見つけていただくこととなります。メタリックカラーの薄めにはぜひ、T-09メタリックマスターをお試し下さい。
Q.
クリア塗装が上手く出来ません。
A.
クリアー塗装、使われる塗料は染料系塗料ということになりますが、この染料系塗料、ムラになり易い性質を持っております。調整のために、クリアーを混ぜていただき、様子を見ながら吹き重ねていくのが最良かと思います。
Q.
グラデーションが上手くできません。
A.
ガイアカラーの顔料系塗料は、非常に隠蔽力が強く、自然なグラデーションがかけづらいと言うお話をお聞きします。溶剤を多くして塗料を薄める方法もありますが、グラデーションをかけたい色をクリアーで薄める方法もあります。後者であれば希釈率を変える必要がございませんので、コントロールしやすいかと思われます。
Q.
ガイアさんはラッカー塗料ですが、ラッカーとアクリル塗料ですが、ラッカーとアクリル塗料の利点と不利な点を教えてください。あと、アクリルとラッカーの組み合わせで使うのと、同一で塗装するのとどっちが綺麗に塗装が出来ますか。
A.
先ず、密着(食いつき)に関しては表面をあらして食いつくので、ラッカーの方が良い可能性が高いです。安全性では強い溶剤を使わない分、アクリル塗料の方が安全ということになります。組み合わせに関してですが、適材適所というところもありますが、ツヤで考えればラッカーのみの方が良いのではないかと思われます。
Q.
メタリック塗料の上澄みを捨てて、別のクリアーカラー等を入れても大丈夫ですか?
A.
上澄みの液体は、顔料と樹脂の中継ぎのバインダーで、一番きれいに塗れるように調整するための液体です。この上澄みを捨てることによって、塗料のバランスが悪くなり、塗膜が弱くなってしまったりということが起こります。
Q.
蛍光ピンクの底に溜まっている黒いカスのようなものはなんですか。
A.
蛍光ピンクの染料が凝縮したものです。蛍光ピンクの染料には集まって凝縮していく性質があります。一度凝縮してしまうと元には戻りませんので、混ぜないで使って下さい。
Q.
塗っている最中、もしくは塗る前の塗料と、乾いた後で色が変わった(濃くなった)気がするのですが?
A.
ドライダウンという現象で、顔料の比重の問題で、乾いて行く最中に比重の重い白の顔料が一番下に行くために、乾燥後、濃くなります。調色の際などは試し塗りなどを繰り返して調整してください。
Q.
他社製品の上にガイアカラーを塗装した際に塗膜にヒビが入りました。なぜでしょうか?
A.
重ね塗りをした際に、上掛けの塗料の溶剤は、外に向かって揮発しますが、下地にも影響を与えています。その影響は下地を溶かすこともあり、表面は硬化してその中が半乾きという状態になることがあります。その際閉じ込められた半乾き部分が硬化して縮まる際に表面を割ってしまうのです。このケースは、上掛けの塗料を一度に厚塗りをしてしまった時などに起こりやすいです。
Q.
何故、ウルトラマリンブルーは2度と作れないのですか?顔料は全て塗料にはならないのですか。
A.
顔料と樹脂を混ぜることを「分散」といいます。この分散が上手くいかないと、塗料はできあがりません。上手くいくというのは顔料と樹脂がきれいに混ざることで、何でもかんでも混ざるというわけではないのです。ウルトラマリンブルーは海外から顔料を取り寄せた珍しいケースでした。
Q.
ラッカー塗料、アクリル塗料、エナメル塗料の違い
A.
ご質問の3点正確には
ラッカー塗料・・・溶剤型アクリル樹脂塗料 (揮発型)
アクリル塗料・・・水溶性アクリル樹脂塗料 (揮発型)
エナメル塗料・・・油性塗料 (熱硬化型、酸化型)
この度、皆様からいただいたたくさんのご質問の中に出てくる、ラッカー、アクリル、エナメル各塗料は、本回答を前提にお答えして行きたいと考えております。



開始30分前から満席で、二重三重に取り囲むようにお集まりいただき、本当に感謝しております。中にはメモを取っていただいている方がいたりと、みなさんの熱心な思いが伝わってきました。

今回は拡声器を使ってのトークとなりましたが、後ろの方の方には全く聞こえていなかったようで、主催者様も次でリベンジできればと、次回の開催も検討中のようです。
後でご指摘いただいたのですが、折角のホワイトボードなども有効活用できておりませんでしたので、次回はいろいろと準備して望みたいと思います。


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